9月2日その7

音読みと訓読み
2日目の夕食も済ませてからホテルへ向かうとのこと。大して動いていないのに、ちょっとお腹が空いてきた。夕食は「火鍋料理」とのことで、四川省を代表する料理の一つだとか。ともかくこの火鍋料理も辛い味付けのものらしい。やたらに全さんが「辛いものは大丈夫ですか?嫌いじゃないですか?」と心配している。「大丈夫よ、安心して。外国でその土地特有の色んな料理を食べるのはホントに楽しみなのよ。それに、中国の人は食べることに関しては貪欲で贅沢じゃない。火鍋料理は初めてのものだから、凄く楽しみだし、辛いものも好きだから。」と言うと、心配は収まったらしい。

とりあえず安心はしたらしいけど、続けて全さんはこう言った。「日本人のお客様、辛いものを食べた次の日、お腹下します」と。文字にすると、別にどう〜ってことないのだけれど、“耳で聞く”と「???」となって、最初は意味が判らなかった。と言うのも…「おはら、おろします」って全さんは発音していたのだった。でも、何故かすぐに頭の中に「お腹、下します(=おなか、くだします)」って文字が浮かんだのだった。不思議〜。全さんの頭に浮かんだ文字がそのまま伝わってきたようだったのだ。日本語は音読みと訓読みがあるので、外国人にとって、はっきり言って面倒くさくて、判りにくいかもしれない。国立大学の日本語学科でしっかりと日本語を学んだ全さんでさえも、このような間違いを犯すのだし。一瞬、この間違いを教えようかなぁと思ったりもしたけれど、説明も長くなるし、人によっては、第3者(この場合はドライバーの王さん)の居る前で訂正をされるのを嫌いな人がいるし。それにそんなに頻繁に使うことではないだろうから「ま、いっか〜」ってことで、黙っていた。

火鍋料理
火鍋料理は重慶が本場だそうだけれど、同じ四川省である成都には沢山のお店があるとのこと。その中でも、老舗中の老舗で観光客用に全くアレンジしてないお店に行くとの説明だった。お店は、前日の陳麻婆豆腐店のように街の中心部にあるのではなく、やや外れの感じだった。と言うのもお店の目の前の道路は、交通量がそんなには多くなかったので、そう思えたのかもしれない。お店の真正面で車を降りて、中へ入るとかなり大きくて立派なお店だった。テーブルは半分ほどが埋まっていたけれど、途中から物凄く人が入ってきて、帰るころには激混み状態だった。土地柄、暑いところである上に、鍋料理のお店なので、大型クーラーが何台も店内に設置してあった。辛いものを食べると更に暑くなるので、ありがたや〜!

暫くの間メニューを眺めていた全さん、「何が食べたいですか?」と聞いてきた。う〜ん…そう言われても、どんなものが本場で食べられているのか判らないし。。「全さんのオススメのものを選んでちょうだい」と言うと「日本の人、エビとか蟹とか喜びます」って…(^^;確かにそうだけど、何も内陸の四川省で蟹やエビを食べなくてもいいんだけどなって思っていたら、母もそう思ったらしく「エビや蟹じゃないほうがいいわ〜」と答えていた。すると「アヒルの舌とか、ブタの喉って食べますか?」と聞いてきた。え〜!それってどんなの?アヒルの舌?でも、アヒルだから牛タンのようには大きいはずが無いけど、どんなのだろ?「アヒルの舌も、ブタの喉も食べたこと無いから、せっかくだから食べてみたいから頼んでちょうだい」とお願いする。すると全さん「アヒルの舌とかってお店で売ってないですか?」と逆に質問してきた。「日本ではそう言うのはお店では売ってないのよ」と答えると「じゃぁ、食べたくなったらどうするんですか?」「食べたくなるもならないも、日本では食べない部分だから、売ってないのよ」と母が答えると「ど〜して食べないんですか?」と更に畳み掛けて聞いてきた。う〜ん、どうしてって言われてもねぇ、食文化の違いなのよねぇ。『空を飛ぶものならば飛行機以外、4つ足ならば机以外』のものを食べると言われている中国とは根本的に食に対する考え方が違うし。「文化が違うのよ」って言ったけど、納得できたのかなぁ?

と言うことで、鍋の中に入れる具材は全さんが選ぶことに。恐ろしく真剣な顔をしてメニューと睨めっこ。で、決まると「○△は食べられますか?」って確認をしてくれた。辛いものだけではつらいので、ってことで胡麻ダンゴも注文。まぁ、これはどちらかと言うと、全さんの大好物だからってこともあるかも?(笑)と言うのは「ボク、これ朝ご飯のときにもよく食べます」って言っていたからだ。う〜ん、朝から揚げ団子かぁ。甘いもの好きな私でさえもそれはちょっと遠慮しちゃうかも。餡子は好きなので別に朝から食べてもいいんだけど…。

「鍋奉行」登場
お店の人が、鍋を運んできた。見ると大きな八角形の鍋の中に真っ黒な色をした汁が入っていて、その中心は更に区切られて、別の汁が入っていた。どちらも汁の中にはネギやらクコの実などが浮いていて、いかにも身体に良さそうなものしか入ってない漢方って感じ。ちょっと先に味見をしたかったけど、全さんに「グツグツするまで待って下さいね」と言われ、お預け…(^^;。具材も次から次へと運ばれてきた。テーブルには乗り切れないので、ワゴンが全さんの脇に置かれて、そこに色々と乗せられている。うん、これはいいシステムかも。日本にもこういう風にワゴンが出てくればいいのに、と思った。そうすれば、具材が食べるのに邪魔にもならないのだから。

ボクが鍋奉行です頼んだ具は、木耳、蓮根、キノコ、アヒルの舌、ブタの喉、豚挽き肉の肉巻き、ウズラの卵等など。等など、とハッキリ覚えていないのは全さんが、全部仕切っていたからである(笑)。そう、彼は「鍋奉行」だったのだ!(右の写真の上にカーソルを重ねてみてください)。汁がグツグツと煮立ってきたので、煮えにくい蓮根などから入れ始め、更に火をよく通して出汁も出るようにと、肉類も入れ始めた。煮えるまで、全さんに通訳してもらいながら、王さんや全さんの家のこと等をあれこれ賑やかに話しながら待っていた。沈んでいた具材が浮いてきたのを見て、全さんが一つ自分の器に取って、“いい感じ”かチェック(笑)。そして初めて「さぁ、もう出来たので食べてくださいね」器には、鍋の汁も入れるとのこと。全さん曰く、そのほうがイイらしい。そして私や母の器に、せっせと鍋から具を取り出してくれていた。熱くて辛いんだから、そんなに次から次へと入れられても食べられないって〜(^^;

アヒルの舌 ブタの喉 豚挽き肉の肉巻き

私や母の面倒ばかり見ていて、自分は食べる暇さえないんじゃないかと思えたほどだけれど、その点はシッカリしている今時の子なので、合間にシッカリと食べている。そして、食べたらまた具を継ぎ足していた。全さんの手を煩わせないで自分で鍋から取ろうとすると「そこは今入れたばかりだから、まだですよ」ってダメ出し(笑)。お奉行様の言うことには間違いはないので、またもや、よそって貰った。

肝心の味だけれど、汁は色から見て判るように、かなり辛い。煮込んだ具でさえもかなりの辛さになっている。真ん中に仕切られている部分の汁は単なる出汁の味だけって感じ。辛さに慣れてしまうと、物足りなくさえも感じるけれど、舌を休ませるには丁度いいようになっていた。そんな風なので、汗が次から次へと噴出してくる。そのくらい辛いのだ。それなのに、王さんは更に唐辛子をこんもりと具に降りかけて食べていた。やっぱり地元の人は凄いんだぁと実感。全さんは王さんに比べるとまだ「お子ちゃま」なので、そこまで辛いのは食べられないらしく、合間に胡麻ダンゴを嬉しそうに食べていた。

グツグツしてきた鍋 王さんと店員さん 胡麻ダンゴ!

アヒルの舌だけれど、食べられる部分はホンの僅かだった。舌とそれに繋がる骨や軟骨が殆どなので、どちらかと言うと、「しゃぶる」感じ。味は特にこれと言う特徴は無い。コリコリとした食感を味わうだけのものなのかもしれない。ブタの喉の部分はプルプルとシコシコの間の食感で、同じく癖は無し。唯一の欠点は、なかなか噛み切れないところかしらね(笑)熱さと辛さにハフハフしながら食べてかなりお腹いっぱいになってきた。全さんは「まだ足りないですかぁ?」と聞いてきたけど、私達親子は満腹。王さんや全さんも満腹だったようで、もう要らないとのこと。最後に胡麻ダンゴを残すのも勿体ないので、ってことで、残っている分(王さんが食べなかったので)も食べてお仕舞い。それにしても、全さんが鍋奉行で仕切る、仕切る(笑)。もっともそのお陰で、母は何もしないですんだけれど。

すっかり満足したので、ホテルに帰ることに。王さんは車を持ってくるために一足先に出た。全さんは支払い。私達親子は…というと大きなエアコンの吹き出し口の前で涼んでいた(笑)。ともかく身体の中から暖まったので、次から次へと汗が止めども無く出てきていたのだった。ある程度汗が出てしまうと、あとはスッキリした感じ。こうやって身体の中から、新陳代謝を促し、老廃物などを汗と一緒に出してしまうなんて、やっぱり漢方の国である中国ならではの料理だと思った。

2日目も終わり
ホテルへ向かううちに辺りはかなり暗くなってきた。アチコチに中国では幸せをもたらす色の赤いネオンが光っていた。とある通りではやたらに電化製品の看板が目立っていた。すると全さん「ここは成都の秋葉原です。東京でもそうですよね?」って説明。う〜ん、ちょっと前までの秋葉原ね。今の秋葉原の状況を知ったら、多分まじめな全さんはぶっ飛んでしまうくらい驚くと思う。ということで、今の秋葉原の状況については何も言わないでおいた。

それにしても、やっぱり成都は大都会。色々とお店なども沢山あるし、大賑わいである。街もこの地区は材木材料関係、家具関係など、地域によって専門店がまとまっていて、計画性を持って作られた街であることは間違いない。それとアメリカ系のファースト・フードのお店が幾つも進出していたのには驚き。どこを見ても、必ずピザやハンバーガー、チキンなどの看板を容易に見つけることが出来た。

ホテルへ向かう途中、私はてっきりお土産屋にでも連れて行くのかと思っていた。大体ツアーというものは、お土産屋へ行くのが決まりとなっているものだし。初日も行かなかったので、今日は行く可能性があるかなぁと思っていたけど、そのままホテルへ到着。う〜ん、一応簡単にでもお土産くらいは買って帰りたいのだけれど、出来れば2日目のうちに買っておけば、ホテルでゆっくり荷造りも出来ようと言うものだけど、それも無い。まぁ、お土産屋ばかりに時間を割いて連れ回されるのも困ったものではある。しかし、無ければ無いで、またそれはそれで困ったものでもあるのだ。人間と言うものは甚だ我儘なものだと思う。まぁ、たった2人しか居ないのだから、連れて行ってもタカが知れると言うものだけれども。そんな気持ちが判ったのか?それとも全さんの会社の方針なのかもしれないけれど、お土産のカタログをロビーで渡された。「押し付けではないけれど、良かったら見てください。もし必要ならば今夜部屋まで運びます。」と。2人なのでどちらかと言うと利益の出ない客である私達なので、どうせ買うなら幾らかは協力したほうがいいし、今夜中に運んでも貰えるならば、スカスカのキャリーケースに多少は詰められるので、この話は願ったり叶ったりだった。すぐにロビーのソファに座って、必要数を注文。30分後に持ってきて貰うことになった。

部屋に戻り、母と2人でウダウダして過ごす。ベッドに横になりながらデジカメの画像をチェック。ぶれてしまったものは削除しておかないと。母は日記を書いていた。それにしても…なんとも可愛いパンダ達であったことか。遥々日本からやって来た甲斐があったというもの。日本では考えられないことばかりだもの。そうこうしているうちに、お土産が届いた。その場で支払いを済ませて、翌日の出発時間を確認して、全さんとは別れた。

お互いに相手がお風呂に入っている間に、荷物の整理をして、その後、満足な思いを抱きながら眠りについた。夢が叶った幸せな一日だった。

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