艶めかしい聖女
「ねぇ、そろそろ4時になるから出かける支度しない?もし、体力的に辛かったら1人で行ってくるけど」ベッドで横になって休んでいた母にそう声をかけて、持ち物を用意し始めました。この日最大の目的地その2へは、ホテルから歩いて行ける距離であって、荷物もカメラと小さなバッグだけという身軽なものでした。母も「休んでいたから浮腫(むく)んでいた足も楽になったので、行くわ」とのことで、マントを羽織って2人でホテルを出ました。

まだ明るいとは言え、晩秋にもなるとかなり日が傾いていました。それに空気も肌寒いし…。東京に居る時よりも遥かに空気で季節を感じます。
ホテルから真っ直ぐに歩くといやでもレップブリカ(共和国)広場。噴水を真ん中にして、道路が弧を描くロータリーとなっている広場。同じロータリーでも、なんでイタリアのはこんなに優美なのだろうかと…。建物も道路に沿って曲線。確か、ロンドンにも、バースにもこんな感じの建物があったことを思い出したりも…。もう10年以上も前のことなんですけどね。

夕暮れの共和国広場 サンタ・マリアデッリ・アンジェリ教会 教会の扉の彫刻

サンタ・マリア・デッリ・アンジェリ教会の前を通過。外観はゴツゴツして荒削りなって言うより、古めかしい遺跡を思わせる教会。それなのに、扉の彫刻はモダンな感じ。ちぐはぐな感じもするのに何故かそれもマッチしている、それが外観だけの印象でした。後で調べてみたら、ミケランジェロが再建したローマ時代の浴場跡に建てられた教会だとか…。ガイドブックを見ると、中は外観とまるっきり違うようだし、見応えがありそうな感じ。これも次回以降に、パス(笑)。

「多分、この先に『モーゼの噴水』があるはず…」そう言っているうちに水の音が聞こえ始めました。共和国広場の派手な噴水を見たあとでは、妙に地味に感じましたけどね(笑)。歩道の脇に、ごく普通に噴水が存在しているのです。中央にモーゼの像。なにやら指差しているポーズ。映画の「十戒」の海が割れるシーンを髣髴(ほうふつ)とさせるポーズです。

モーゼの噴水 モーゼ おマヌケ顔のライオン

足元にはヒエログリフの彫られている台座の上にライオン。う〜ん…このライオン、トボケ顔で、エジプトのカルナック宮殿で見たあのライオンに似ているかも?まぁ、モーゼの話そのものがエジプトが舞台ですから、エジプトのライオンと似ているのは当然のことかもしれないんですけどねぇ。人間像の彫刻が迫力あっていいのに、足元を見るとドヨヨ〜ン(^^;ま、気に入った部分だけ写真を撮って、おしまい。


そしていよいよ道路を挟んだ角に目的の場所があったのです

そして、その場所の名は、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会。ガイドブック等(地球の歩き方など)には、あまり載っていない小さな教会ですが、ここには凄いものがあるのです。

話は数年前に遡ります。何気なく見ていたTVの美術番組で、思わず身を乗り出してしまうような彫刻を見たのです。それは大理石で出来ているのですが、その質感と言い、像そのものから溢れ出る雰囲気。ゾクッと来るようなほど魅力溢れていました。それは…ベルルーニ作「聖女テレーザの法悦」という極めて宗教色の強い彫刻です。

しかし…その彫刻から感じられるものは、「艶(なまめ)かしさ」さえあるのです。聖女の幻の中の矢を持った天使と、幻の中でその矢に刺されることによって浮かべる痛みと魂への神の愛撫に対する恍惚感。これが本当に石で出来ているのかと疑いたくなるようなほどの存在感があるのです。

天使の顔の無邪気さは、何かを裏に潜ませているような表情にも見え…。聖女の表情は神へ全てを捧げた絶対的な宗教観が引き起こしたものではあるのでしょうが…。まるで、頭をガン!と殴られたような衝撃が走りました。あまりの衝撃に、イタリアのローマに存在する程度のことしか頭に残らず、このことは長い間私の意識の底に沈んでいたのです。メジャーなガイドブックにもこの教会のことは僅かしか載っておらず、見落としてしまうような程度の扱いでした。

ところが、運命と言うものはこうまで巡り会わせを引き起こすものなのか?と思うような出来事が起こりました。今回イタリアに行く前に、フィレンツェ在住の私の知人達(彼らのサイトはコチラ)が、「イタリアの歩き方」と言う雑誌の現地取材をしたのが日本で発売になったのです。すぐに本屋の店頭でパラパラっとページを捲ったら…なんとこの教会のこの像の写真と詳細が載っていたのです。勿論、即買い。もっとも仮にこの特集が無くても買っていたのですけどね(笑)。

すぐに地図で調べると、ホテルから近いのでいつでも行ける距離。7時から12時、15時半から19時までと、中休みがあるけれど、近いので融通が利くようなので即決!まぁ、見学時間が制限されていても、なんとかやりくりつけて行ったでしょうけれど。

そしてその憧れの彫刻のある教会は目の前なのです。でも…思ったよりは小さいなぁって言うのが、第一印象。ワクワクしながら中に入りました。

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