2月3日 ヴェネツィア  その4

ゴンドラに乗って
サン・マルコ小広場の乗り場から、ぐるりと廻って溜め息の橋の下へと向かった。人々が見下ろす橋を潜り、溜め息の橋の下へ。今迄眺めていたのとはまるっきり違う、やはり近くで見るのはいいものだ。真っ青な空と、真っ白な橋のコントラスト。こんなに美しい橋が2度と出ることの叶わない牢獄(脱出したのはかの有名なカサノヴァ1人とも)へと通じていて、受刑者にとっては己の運命を分けてしまう橋だとは想像も出来ない。橋の下を潜り、そのまま水路を進む。

溜め息の橋 ゴンドラに乗って
ゴンドラから見上げた溜め息の橋 ゴンドラに乗りました(中央・私)

ドゥカーレ宮殿を過ぎると周りの建物はがらりと変わってくる。緑の鎧戸の付いた建物が多く、水路に面して出入りできるようになっている。壁はレンガで覆われてるところが殆ど。橋を潜る度に、通りがかりの人達が私達に気がつき、手を振ってくるのでこちらも振替えす。写真を撮っている人もいた。どんな風に私達は写っているのだろう?

水路は段々と奥に入るにつれ生活感が溢れてくる。窓辺に植木鉢が飾ってあったり、洗濯物が吊してあったり…。小さな橋を潜るときは、アーチ型になった橋の下の部分に水面の光が柔らかく反射していて、なんとも言えない微妙な模様を映し出していた。これは昼間でないと決して見ることの出来ない光景だと思う。チャポチャポと僅かに櫂を漕ぐ音が聞こえる。この静寂さは何だろう?あの賑やかなサン・マルコ広場からは想像も出来ない静寂さ

緑の鎧戸とおじいさん 洗濯物 水面
緑の鎧戸とおじいさん 洗濯物はこう乾します 水面の光

途中、水路の周りをよく見ていると、カーブミラーが設置されている。そうね、ここは道路と一緒なのだものね。ステファノさんが櫂を操っている姿を写真撮りたくていたけれど、ちょうど真後ろなので振り向くことは出来なかった。ならば…と持ってきた10倍ズームのデジカメはバリアングル液晶モニターなので液晶の角度を自由に変えられる。レンズの方向を後ろに向け、液晶モニターも同じくレンズの方向側に変え、自分の視線に合わせてみた。なんとこれがバッチリ!ん〜!便利な機能だなぁ〜!背中を向けているのに、写真が撮れるなんて!やっぱり買って良かったこのカメラ。お買い得だったわ〜。

水路のカーブミラー ゴンドラを操るステファノさん
水路のカーブミラー ゴンドラを操るステファノさん

あわや、大事故!
順調にやって来たのに、ここでトラブル勃発!横から出てきたボートが私達のゴンドラにぶつかってきたのだ!
「あ!ぶつかる!」って思った瞬間にゴン!と鈍い音。激しく揺れるゴンドラ。思わず悲鳴が出る。相手の人もかなり慌てていた。万が一ゴンドラが壊れたら、浸水しちゃう訳?と一瞬焦ったけれど、その動揺を私が出すとMさん親子にも悪影響を及ぼすかもしれないから、努めて冷静な表情を保っていた。

それにしても、ステファノさんの反応も早かった。ゴミを集めていた隣のボートに飛び乗り、ぶつけられた場所を確認していた。ぶつけられて激しく揺れていた瞬間もゴンドラを上手く操って揺れを最小限に収めていてくれたに違いない。それにしても、もし、ここで降りてくれと言われたらどうしよう?この格好では簡単に「ハイ、そうですか」とは言い難い。幸いなことにゴンドラも傷は付いたろうけれど、大きな損傷にならなくてホッとした。なんせゴンドラは一艘1,000万以上するのが普通だから、言わば我々は超高級車に乗っているのと同じことであるのだ。

途中ですれ違ったゴンドリエーレがなんやら大きな声でステファノさんに話しかけてきた。Uさんに因ると、なんでも「"外専門"のあんたがこっちに入り込んできているんだ?」という内容のことだったとか。どうやら、縄張りではないけれど、誰々はどこの場所ってだいたい決まっているらしい。でも、問い掛けしてきたゴンドリエーレの方が彼よりも年季が少なかったようなので、そのまま過ぎ去っていった。う〜ん、色々と決まりがあるのね。それにしても、彼らのイタリア語が多少なりとも判るようになるまで、一体何年かかるのだろう?まぁ、語学というものは活きているものなので(=常に変化している)一生勉強しなくてはならないものだろうけれど。

「このあたりがマルコ・ポーロの家だった場所」と言うところを案内してくれた。そう、彼はこのヴェネツィアに元(げん)から戻ったんだっけ。その後「東方見聞録」で日本は「ジパング(黄金の国)」として紹介されていたんだっけなぁと、暫し思いに浸る。その辺りからゴンドラは、サン・マルコ広場の方へと戻り始めた。

ドゥカーレ宮殿の近くまでは同じ水路を通らずにぐるりと廻ってきたけれど、戻るために再度同じ水路に出た。間もなく進行方向右手にドゥカーレ宮殿がそびえ立ってきた。溜め息の橋も見えてきた。もうすぐ、このゴンドラクルーズも終わりとなる。サン・ジョルジョ・マッジョーレ教会が正面に見えてきた。教会の塔は修復中だ。ちょっぴり見た目が悪いけれどそれは仕方ないこと。サン・マルコ運河に出てゴンドラは桟橋に向かう。ここから見上げるドゥカーレ宮殿は、大層キレイだった真っ青な空を背景に、ピンクと白の壁の模様の美しさは譬えようもないくらい美しいものだった。

修復中のサン・ジョルジョ・マッジョーレ教会 ゴンドラから眺めたドゥカーレ宮殿 写真やさんに飾られているゴンドリエーレの写真
修復中のマッジョーレ教会 ドゥカーレ宮殿 ゴンドリエーレ

ゴンドラを降りると間もなくステファノさんは桟橋を離れていった。慌ててシャッターを切った。逆光だったけれど、どうだったろう?帰国後、この写真は地元の写真やさんで大きく引き伸ばされ、飾られている。無心で写したのが良かったのかも?

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